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―――某月某日
学生たちの悲痛な声が、学校中に響き渡る。
銀と緑と黄色いの
「お~お~、今回も大量だな」
先を歩く2人組みのうち、小さい方からそんな呑気な台詞(セリフ)が聞こえる。
もう片方も片手を目の上にかざして、うわぁ~と棒読みで感嘆?の息を漏らしていた。
「ねぇ、コレに飛び込むの?マジで?」
「そうしないと結果がわかんないけどな」
「それは困るなぁ・・・・カケが」「ちなみに今回の掛け金は?」
「2000円」「大きく出ましたね」「今月の全財産です」
「・・・・あんた達」
何でそんな呑気なのよぉおおぉおお!!!!!!!!!!
2人組みの背後にくっついて、大声で叫んでやった。
「・・・・いった」「・・・・ミク」
耳を押さえて、2人が恨めしそうに睨んでくるけどそんなこと知ったことか!!
誰もが悲鳴を上げる期末の結果を前にしてその呑気さは憎らしい!!
2人を抜き去って、目的の場所を目の前にしたはいいけど・・・
・・・・・その、腰が引ける。
「・・・相変わらずですね、クオさん」「金あるんだから面倒でもわけてほしいですよね、ショウさん」
いつのまにか、後ろにいた呑気な2人からこれまた呑気な感想が聞こえた。
うちの学校はこの界隈では有名な私立のとんでもなく大規模の・・・とにかくデカい学校で。
幼稚舎から大学部まで、よっぽど酷い成績でなければエスカレーター制で上にいけるのだけれど・・・
市内の学校の中でもそれなりにレベルは高い。
エスカレーターだといって甘く見てると赤点組みに紛れ込んだりする事も多く
テスト前になると、いつも騒がしい教室が静かになったりする・・・ということはとりあえずおいといて
とにかく、この学校は大きくてとても資金には困っているようには見えないのに
妙なところでケチというか、がめついと言うか・・・
何でこんなにだだっ広いくせに、校庭が中高合同なんだろう?
そして、何でその校庭に面した掲示板に中高一緒に順位表を張るんだろう?
せいぜい合計で600人程度でも、集まってしまえば相当に恐ろしいものになる。
「あ、いたいた」
クオが指差した方向には、見慣れた黄色い後輩が同じように掲示板を眺めている。
「おーい」
ショウが声を掛ければ、2人は全く同時に振り向いたものの・・・
全く正反対の表情で私たちを迎えた。
「あ、ミクちゃん達」「・・・・・・」
「リトは?」「全然人が引かないから、待ちくたびれて突入しちゃった」
「相変わらず短気だねぇ」
リンちゃんと2人が呑気に話している横で、げっそりとしたレンと目が合う。
「「・・・・・・・・・・・・・」」
お互い、何も言わない。
目でお互いの心情を理解して、2人で頷きあった。
「「・・・死ねばいいのに」」
「「何か言った?」」
「「いえ」」
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「お」
そのうち、5分もしないうちにボロボロになったリトが戻ってくる。
「・・・・・・大丈夫?」「・・・馬鹿でかい高校生どもめ」
流石のリトといえども、体格で負けている高校生の集団には勝てなかったようだ。
それを見て、クオとショウは顔を見合わせる。
「これは、しゃあないか?」「これは、仕方ないか」
2人で顔を向き合わせて頷き合うと、今度は2人が集団の中に入り込んでいく。
そう体格のいい2人じゃないけどこのメンバーじゃ1番適格だ。
「「「「・・・・・・・・・」」」」
妙な沈黙が流れて・・・5分後。
見事に真っ二つに反応が分かれたのは、言うまでもないだろう。
END
おまけ→結果発表
高校生組み(300人中)
5位 ショウ
シ:まずまず、だな
17位 クオ
ク:・・・ショウのノートさえ手に入れば
越えられない壁
267位 ミク
ミ:・・・・・・・・・他の奴らが頭良すぎなのよ!!!
中学生組み(300人中)
28位 リン
リ:よっし!!!
150位 リト
リト:・・・ふん
234位 レン
レ:・・・・・・